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2025.11.05
【初心者向け】サウナヒーターは電気?薪?メリット・デメリットを解説

自宅や施設にサウナを導入する計画を立てる際、中心となるのはサウナヒーターの選択です。主なヒーターは、操作が簡単な「電気式」と、本格的な熱源を楽しむ「薪式」の2種類に大別されます。
それぞれ異なる設置要件やメンテナンスが必要となるため、ご自身のライフスタイルや設置環境に合わせて最適なヒーターを選ぶことが、快適なサウナライフの第一歩となります。
本記事では、各種サウナヒーターの取扱説明書に基づき、それぞれのメリット・デメリット、そして安全な利用のための共通の注意点を詳しく解説します。
1. 電気式サウナヒーターの特性と利便性
電気式ヒーターは、手軽な操作と温度管理のしやすさを重視する方に適しており、主に屋内での利用が想定されています。
メリット:簡単な操作と安定性
操作の容易さ(2つの方式)
電気式ヒーターの操作方式には、コントローラー式とダイヤル式(内蔵サーモスタット式)の2種類があります。
コントローラー式
ディスプレイとボタンで操作し、幅広い温度範囲で細かく設定・調整が可能です。
タイマー機能や運転開始の待機時間の設定も可能なモデルがあります。
ダイヤル式
ヒーター本体に組み込まれたタイマーダイヤルと室温調整ダイヤルを使用します。
室温調整ダイヤルを最大にすると、サーモスタットにより高温の温度目安となりますが、サウナの構造や断熱性、気密性により、実際の室温表示と設定に差が生じる場合があります。
屋内設置に最適
薪式のような排煙のための煙突が不要なため、一般的な屋内サウナキャビンへの設置が容易です。
デメリットと導入時の必須要件
専門的な電気工事が必須
設置作業は必ず専門業者が行う必要があります。
専用の電源と配線
200V単相または三相の電源に対応し、サウナキャビン内への配線には特定のコード(2PNCTコードなど)を使用します。
安全装置の義務化
安全のため、主幹には専用の漏電検知付きブレーカーを設置することが義務付けられています。
容量の選定が重要
ヒーターの運転時間が長くなり、製品の寿命が短くなるのを避けるため、サウナ室の体積に見合ったヒーター容量を選ぶ必要があります。
ガラス窓などの非断熱表面積が多い場合や、ログハウスなどの断熱性が低いサウナキャビンの場合は、体積に補正値を加えてヒーター容量を選定する必要があります。
2. 薪式サウナヒーターの特性と注意点
薪式ヒーターは、火の管理そのものをサウナ体験の一部として楽しむことができ、高い暖房能力を持つため、大規模なサウナ室にも対応可能なモデルがあります。
メリット:伝統的な体験と高い出力
燃料は薪
燃料として薪(固形燃料)を使用します。
火の管理
燃焼用空気を調節するために、灰受け皿の調節を行うことで火力をコントロールします。
高い暖房能力
モデルによっては、14〜28m³という広いサウナキャビンに対応できる高い暖房能力を持つ機種もあります。
デメリットと設置/運用の制約
排煙設備(チムニー)が必須
燃焼ガスを排出するためのチムニー(煙突)の設置が必須です。
チムニーの外部と可燃物との隔離距離は100mm以上確保しなければなりません。
厳格な燃料制限
ヒーターの損傷や火災の恐れがあるため、許可されていない燃料の使用は固く禁止されています。
これには、プラスチック、石炭、ペレット、木炭、ゴミ、液体燃料などが含まれます。
シーズニング運転の必要性
初めて使用する前に、ヒーター表面に塗布された保護塗料を蒸発させるためのシーズニング運転を屋外で実施する必要があります。
定期的な清掃
燃焼用の新鮮な空気を確保し、製品の寿命を延ばすため、使用前には必ず灰受け皿の灰をすべて捨てる必要があります。チムニーや接続パイプも定期的な清掃が必要です。
運転中の注意
運転中はヒーター表面が非常に高温になるため、操作部以外に触れないよう注意が必要です。
3. 共通の安全性とメンテナンスのルール
電気式・薪式にかかわらず、サウナヒーターを安全に利用し、長く使い続けるためには以下の共通の注意点を守る必要があります。
設置と火災予防
施工は専門業者に依頼
設置作業は必ず専門の業者が行ってください。
可燃物からの隔離距離
周囲の可燃物に対して、指定された最小隔離距離(スペース)を必ず確保して設置してください。
床の補強
本体重量に耐えられる強固で水平な床に設置し、床が変形しないよう根太補強を施す必要があります。
ヒーターへの禁止行為
ヒーターの周囲や上には、タオルや可燃物を置かないでください。
ヒーターの上に座ることも禁止されています。
換気の確保
サウナキャビンには給気と排気の換気口を設ける必要があり、不十分な換気は製品の異常過熱や火災の原因となります。
ロウリュとヒーターストーンの管理
ロウリュを行う際も、以下の点に注意が必要です。
ロウリュ用の水質
ロウリュに使う水は、家庭用水道の水質を満たした水を使用し、サウナストーンにのみかけてください。
水質制限
藻類、塩水、海水など、水質に影響を与える要素が含まれる水は、製品の故障につながるため使用しないでください。
ヒーター本体への水かけ禁止
ストーン以外のヒーター本体に水をかけると、沸騰した熱湯が飛び散る危険があります。
フレグランス
専用のフレグランスを用い、原液や濃厚な溶液をかけると、水がヒーター本体に落ちた際に火災が発生する恐れがあるため、必ず希釈率を守ってください。
ストーンの点検
ヒーターストーンは使用とともに割れが発生するため、少なくとも数カ月に一度(頻繁に使用する場合は4〜6回程度)、割れた石や破片を取り除き、新しいストーンに交換し、積み直しを行う必要があります。
4.まとめ
・利便性、安定性、簡単な操作を重視し、自宅内に設置したい場合は電気式ヒーターが適しています。
・火の管理を含めた本格的な体験、薪の香り、大容量のサウナ室での利用を望む場合は薪式ヒーターが適しています。
いずれのヒーターを選ぶにしても、隔離距離の確保や、ロウリュの際の水質への注意、そして専門業者による適切な施工を徹底し、安全にご利用ください。
